私たちのマンションは築15年80世帯が居住している。管理組合に専門委員会を作り、居住者への情報開示を念頭に置き進めてきた。修繕計画については多方面多様の参考意見を伺い、建物維持年数を60年に設定した。将来多額の一次負担金が発生しない様、修繕周期の延伸を計り、修繕トータルコストの削減を計る「基本方針」を作成した。こうして、第1回大規模修繕には平成19年の検討着手から23年の工事竣工まで約4年掛った。
修繕工事の進め方は設計監理方式。業界誌での公募は「応募が無い場合は一から出直す」事として、設計監理会社・専門施工会社には従来の常識にない厳しすぎる品質管理を条件とした。幸い若く有能で拘りを持った設計監理者と、施工精度に妥協しない㈱日防技研さんと契約を結ぶ事ができ、修繕工事を進める事ができた。厳しい公募条件が最大の成果を生む形となって、出来栄え作品もすばらしいものとなって我々に戻ってきた。
公募条件には基本方針を基に施工品質を重視し、品質管理資料の公開と現場視察を加えた。私たちにとってこの事が各契約会社の絞込みに有効な手段となった。設計監理会社の選択では建物診断が実際の工事に生かされているか素人では判らないため、管理組合の方々との信頼関係はどうであったかなどが判断基準となった。施工会社選択では実際の出来栄え評価と工事中の苦労話など実見聞できそれを判断基準とした。一般的な業者の選択基準とされている会社規模、業界認知度、施工実績、完成保証、評判などを基準にしなくて良かったと振り返っている。
今回工事の2次・3次建物調査から問題点も明確となり、設計監理者の見解も参考に管理組合として、不具合を今回工事の追加対象とするか先送りするか必要性と緊急度に応じて判断した。将来現居住者が高齢化する2回目以後の修繕工事で、いま手を加える事で将来発生しそうな居住者の一次負担金を極力回避できるかどうかが判断基準となった。
我々マンションの区分所有者には、建設業関連に従事される方も多数おられ、それぞれの専門分野では見識も深い。しかしながら総合的に大規模修繕をコーディネートする事はやはりプロの仕事であり、その力を借りなければ達成することができない。管理組合と施工会社のチームワークと信頼関係が最も重要と思った。
今回工事成功の立役者は拘り特記仕様を理解して頂き、当工事に関与され表に出ない提案も頂いた㈱日防技研さんの社員の方々であり、実際卓越した技能を発揮されものづくりされた職人さんと思った。今まで私が持つ職人さんイメージは「寡黙に言われた通り仕事する」だった。今回工事では言葉使いも丁寧で明るい挨拶、当然自分の仕事に高いプライドを持った数多くの職人さんと触れ合うことができ、認識が変わった。㈱日防技研さんの今回工事への感謝と、今後の長いお付き合いをお願いしたいと思う。
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